耐震・免振・制震、新築住宅で結局大事なのはどれ?

耐震とは

「耐震」とは文字通り地震の「揺れに耐えられる」ように構造などを補強したもので、建物の強度を上げて破壊や損傷を防ぐことを指します。
具体的には、壁の「筋交い」の本数を増やす、柱や針を大きくする、金具で接合の部分を補強するなど。これらによって、地震の時に建物が倒壊しないようにします。
耐震構造は戸建て住宅だけでなく、マンションやビルなど日本の多くの建物で採用されています。

日本の住宅を建てる際には建築基準法で耐震基準が定められており、地震に対する建物の強さを「耐震等級」で表します。耐震等級1であれば戸建て住宅に必要な最低限の強度を満たしています。
耐震等級2は、「長期優良住宅)」の認定条件となっており、耐震等級1の1.25倍の地震に耐えられる強度を持ちます。なお、長期優良住宅とは長期に渡り良好な状態で使用するための措置を講じられた住宅で、認定を取得すると減税や住宅ローンの金利優遇といったメリットがあります。
耐震等級3はもっともレベルが高い耐震等級となっており、耐震等級1の1.5倍の地震に耐えられる強度が特徴。災害時、救護活動の拠点となる消防署や警察署などの建物は、耐震等級3を基準としていることが多くなっています。

住宅プランの中には「耐震等級〇相当」という表現が出てくることがありますが、これは耐震等級の認定がされているものではありません。

耐震等級1は建築基準法で定められた最低基準なのですべての新築住宅が満たしています。しかし、耐震等級2や3は外部機関による検査と認定(有料で、約10~20万円)が必要です。
「相当」と表記されているプランは同等の性能を持っているが検査や認定は受けていません。長期優良住宅などの優遇措置を受けようと考えている方は対象外になるため、注意してください。

耐震にかかる費用とメリット・デメリット

耐震の一番のメリットは、コストが安いという点。
そもそも建築基準法による耐震基準を満たしていない家は建てられないので、追加の費用がかかるということはありません。ただし、より強度を持たせた建物にする時は追加費用が必要です。

もっともポピュラーな構造であり、特殊な工事ではないので、免振や制震に比べて工期が短くて済むという点もメリットです。

設計の時の制約が少ないのもメリット。
免震では装置を設置する場所を確保するため部屋を1つ減らす必要がある、といったことが起こり得るため、自由に設計したい人は耐震がおすすめです。

耐震のデメリットは、上層では特に揺れが大きくなるという点。
揺れを吸収することなく直接建物に伝わってしまうため、他の構造よりも揺れを感じやすくなります。揺れの大きさによっては家具が転倒したり物が飛び散ったりするので、転倒防止グッズを使うなどの対策が必要になります。

また、何度も地震でダメージを受けていると、強化していても損傷部分が出てくることがあるため、定期的な点検が欠かせません。

免振とは

「免震」とは、建物と地盤を切り離して揺れを直に伝えにくくする構造を指します。免振装置を設けることで地震が起きた時の力を受け流し、建物の揺れを少なくします。
免震装置は、水平方向の揺れを緩和する積層ゴムアイソレータ(積層ゴム系ゴムと鋼板が交互に重なった装置)と揺れのエネルギーを吸収する減衰性能を持つダンパーで成り立っています。

免振の一番のポイントは建物の倒壊だけでなく、家具や家電製品の転倒や食器・ガラスの飛散といった内部のダメージを防ぐことができるという点。
免振装置があることで揺れても建物内部まで揺れが伝わりにくいというのがその理由で、大きな地震でも耐震や制震に比べて揺れにくいのが特徴と言えます。

免振にかかる費用とメリット・デメリット

免震の最大のメリットは、揺れが小さいという点。建物と地盤の間に設置した免振装置のおかげで、地震が起きても大きく揺れることはありません。

また、揺れが少ないため室内の家具や家電などが倒れるリスクも少なくなります。物の落下や移動なども、耐震に比べると少なくて済むでしょう。

建物に直接揺れが伝わらないため壁などの内部の損傷もしにくく、資産状態を保ちやすい点もメリットです。
免震のデメリットは、コストが高くつくという点。定期的なメンテナンスや交換なども必要なので、建てた後のコストもかさみがちです。また、工事可能な会社が限られていることもデメリットと言えるでしょう。

免震は縦揺れと強風による揺れには効果を発揮しづらい構造なので、阪神淡路大震災のような直下型地震では横揺れの時ほどの効果は見込めないという点もデメリットです。

制震とは

「制震」は揺れを抑制することを目的としており、建物内部の必要箇所に制震装置を組み込み、揺れを吸収する構造のことを指します。ダンパーなど粘性や弾力性のあるものが制震装置となり、揺れを小さくしてくれる仕組みです。

タワーマンションなど高層の建物では上階で揺れが大きくなりますが、制震構造を採用することで揺れを緩和できます。
建物の内壁と外壁の間にダンパーを入れ、揺れをエネルギーに転換することで結果として揺れを吸収し、建物の倒壊を防ぐことが可能。高い建物に有効な構造なので、戸建て住宅では耐震や免振ほど多く取り入れられていませんでしたが、最近は認知が進んできました。

制震にかかる費用とメリット・デメリット

制震のメリットは、メンテナンスがあまりいらないという点。免震と比べてみると、ダンパーの取り替えがほとんど不要で建築コストも安く済ませられます。

繰り返しの揺れにも強いのも制震のメリット。地震だけではなく、台風など強風の際の揺れにも強いのが特徴です。

デメリットは、地盤の影響を受けやすいので土地によっては効果が出にくいという点。制震装置の数や設置する場所によっても効果が変動します。

住まいの耐震性を確認するには

住宅の耐震性を確かめたい時は、「住宅性能表示制度」を利用しましょう。

「住宅性能表示制度」とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づいた制度のことで、10分野・34事項から成り立っています。
温熱環境や光環境に関すること、高齢者等への配慮に関すること、防犯に関することなどに区分されていますが、「構造の安定に関すること」も住宅性能として評価されます。

客観的な評価を実施する第三者機関が住宅性能を評価し、その結果を「住宅性能評価書」として交付しますが、構造に関しては「耐震等級」で表示されます。

「耐震等級1」と表示されている場合は、「極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力に対して倒壊・崩壊しない程度」と評価されたことになります。耐震等級1は、住宅を建てる時に最低限必要な強度として義務付けられています。
耐震等級2であれば耐震等級1(建築基準法の基準)の1.25倍、耐震等級3は1.5倍の強度があることを表します。

住宅性能評価書は一般の人が家を建てる際に安心できるように設けられた制度ですが、評価してもらうには費用がかかります。
建物の設計の評価である「設計住宅性能評価書」のみの場合は10万円程度、工事完了後の評価である「建設住宅性能評価書」も取得する場合は20万円程度が費用の目安。新築住宅では設計段階・建設中・完成した後にそれぞれ評価され、信頼性を確保したりトラブルを回避したりするのに役立ちます。ハウスメーカーと相談して取得を検討してみるとよいでしょう。

耐震性も間取りの自由度も◎な、注目の構法とは

耐震等級3の高い耐震性能と自由度のある大空間を実現できるのが「SE構法」です。

「SE」はSafety Engineeringの頭文字をとったもので、工学的・構造計算的に安全という意味。阪神淡路大震災の時に多くの木造住宅が倒壊したことをきっかけに、木造でも強い耐震性を持つSE構法が生まれました。
ラーメン構法(柱と梁を専用のSE金物で接合することで、強い構造を作り上げる構法)を木造に取り入れた、最先端の木造構造技術がSE構法なのです。

このSE構法を標準採用しているのが、神戸のハウスメーカー「WHALE HOUSE(ホエールハウス)」。お客様に高い耐久性と心地いい快適性を兼ね備えたプランを自信を持って提案するためには確かな証拠を提示することが重要だと考え、SE構法を取り入れています。

ホエールハウスでは、耐震について学べるセミナーを定期的に開催中。
参加はもちろん無料ですので、耐震についてもっと詳しく知りたい方や不安なこと・疑問に思っていることがあるは、ぜひお気軽にご参加ください。

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