ツーバイフォー工法で地震に強い家は建てられる
ツーバイフォーの地震に対する強さは、実際の地震発生時のデータで証明されています。
一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会の調査結果をご紹介しましょう。
平成5年1月15日に発生した釧路沖地震(M7.8・震度6※後日7に訂正)では、地震のみならず液状化現象・斜面地崩壊により多くの住宅被害をもたらしました。
その中で、ツーバイフォー住宅は転倒傾斜しても倒壊せず6面体(箱型)の形状を維持していました。
平成7年1月17日に発生した阪神淡路大震災(M7.3・震度6 7)では、住宅被害全壊10万4900棟、半壊14万4255棟のうちツーバイフォー住宅は全壊半壊共に0件でした。
平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震(M6.8・震度7)では、本震後15回にわたる余震が続きました。
住宅被害全壊・半壊が約18,800棟、一部損壊を含めると約9万棟。この状況下で、ツーバイフォー住宅は大きな被害報告はありませんでした。
平成28年4月14日に発生した熊本地震(本震M7.3 震度7)では、多発性地震であったため建物は何度も強い揺れにさらされ、多くの住宅は多大な被害を受けましたが、ツーバイフォー住宅は全壊・半壊が0件、一部損壊も3%以下にとどまっています。
平成23年3月11日に発生した東日本大震災(M9.0・震度7)では、地震の揺れによる被害は少なかったものの、津波によって押し流され多くの建物が倒壊しました。
しかし、ツーバイフォー対象住宅20,772棟へのアンケート調査では、居住に支障のない住宅は19,640棟で全体の95%、津波被害を除くと98%という結果がでています。
このように、いずれの地震でもツーバイフォー住宅は地震被害が少ないという結果がでています。
実際にツーバイフォー住宅に住んでいる方々からも、以下のような声が聞かれています。
ツーバイフォー住宅に住む方の声
- 2×4工法は地震に強いと言う事で選んだが、その通りの性能で安心できた。
- 在来木造と2×4を建築しましたが、2×4はクロスの亀裂やよじれがなく、改めて地震に対しての強さを実感しました。
- 揺れもなく、戸もビクともしないし額も落ちなかった。避難している親戚たちにも感心されている。
- 今回の地震でもお皿1枚割れることなく、安全に過ごす事ができました。
- 1階天井裏まで浸水し、流れてきた近隣屋根(2軒)が衝突。また、北側近隣の2階建倉庫が倒れ寄りかかる状態に。1階窓建具は、南と西を中心にほとんど流出し瓦礫が室内に侵入堆積した状態だった。津波侵入方向にあった木造住宅の8割ほどが流出又は全壊状態であったが、本宅は傾き等もなく、修繕することとした。1階の損壊はショックだが、しっかり作ってもらったおかげで家を残すことができた。
ツーバイフォー工法は床や壁を面で支える構造
ツーバイフォー工法とは、2×4インチの木材を用いて作られる「木造枠組壁工法」のこと。2×4インチというサイズにちなんで「ツーバイフォー」と呼ばれています。
ちなみに、ツーバイフォーの木材は、正確には2×4インチではありません。2×4は未乾燥・製材前の寸法です。1インチは約2.54㎝なので、実際のツーバイフォー木材のサイズは計算すると次のようになります。
<乾燥・製材前>
2インチ→2×2.54㎝=5.08㎝
4インチ→4×2.54㎝=10.16㎝
5.08㎝×10.16㎝
<乾燥・製材済>
3.8cm×8.9cm
ツーバイフォー工法では、壁4面・天井・床を箱型に組み立てて建てられます。木造建築といえば柱や梁で家を支えるイメージがありますが、ツーバイフォー工法は床や壁を面で支える構造となっています。
ツーバイフォー工法は、アメリカやカナダでは9割の住宅に使われているという最もポピュラーな工法です。
一方、日本で最も普及しているのは在来工法です。在来工法は春夏秋冬という季節による温度変化や湿度に対応しているため、日本人に長年にわたり親しまれています。
在来工法は柱と梁を組み家の骨組みから作る構造
在来工法とは柱や梁、筋交いを組み合わせて作る工法のことで、「軸組み工法」とも呼ばれています。
在来工法で建てる家の構造は骨組みから形成され、柱や梁を組み立てた後に壁を取り付けていきます。
柱や梁でバランスを取るので、面を組み立ててバランスをとる構造のツーバイフォー工法とは仕様が違っています。
在来工法は構造的にツーバイフォーより耐震性が弱いイメージですが、現在は耐力壁を用いるなどで耐震性を強化しています。
続いては、ツーバイフォー工法で建てる家のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
メリット①地震や台風に強い
ツーバイフォーは、壁4面・天井・床の計6面で建物を支えるので地震に強く、水平方向の揺れにも耐えられるので台風にも強くなります。
メリット②断熱性が高い
ツーバイフォーは四方八方壁で囲んでいるので、隙間ができません。外気を通さず部屋の空気を逃さないため、断熱性が高くなります。
また、断熱材を枠組みの間に施工しやすいため、断熱材の性能を最大限に発揮できます。
デメリット①間取りの自由度が低い
ツーバイフォーは面で建物を支えているため、面を1つ外してしまうと建物の強度が弱くなりバランスが崩れてしまいます。
大きな窓を作ったり、部屋を広くしたり、複雑なデザインにしたりする場合は対応できないこともあります。
デメリット②リフォームが難しい
ツーバイフォーでは在来工法のように柱を足して繋げていく事ができないため、リフォームが難しいとされています。
ツーバイフォーの構造上のルールに沿ってリフォームを行うことは可能ですが、対応できる業者は少なく、通常のリフォームより制限があるでしょう。
ツーバイフォーとSE構法を比較
ツーバイフォーは地震に強いというメリットがあるものの、デザインの自由度が劣る点やリフォームしづらいといったデメリットも抱えています。
そんなツーバイフォーのデメリットを払拭できるのが、耐震性に優れ、かつデザインの自由度が高い「SE構法※」です。
「阪神淡路大震災の悲劇を繰り返さない」という開発コンセプトで誕生したSE構法は、大規模木造建設物の技術(ラーメン構造※)を一般の木造住宅に取り入れ「高い耐震性」と「複雑なデザイン設計」の両方を実現可能とした最先端の構法となっています。
SE構法のSEは、Safety Engineering(Safety For Engineering)の略で、和訳すると‟工学的に安全な構法”という意味。
その名の通り、SE構法は構造計算によって安全性を数値化しており、職人の勘や経験といった曖昧なものではない根拠のある安全性を誇ります。
同じく地震に強いとされているツーバイフォーと比べると、以下のような違いがあります。
SE構法 | ツーバイフォー(2×4) | |
---|---|---|
耐震力 | 強い。 柱脚金物で基礎と柱を直接緊結 構造用集成材・耐力壁を使用 |
強い。 耐力壁で震力を分散 |
自由度 | 高い。 大空間や吹き抜けなど 自由に設計できる |
低い。 規格に沿って設計するため自由度は低い |
費用 | 高い 構造計算費・SE構法用の金物の費用など |
SE構法よりは安い 資材は工場で大量生産できるためコストが抑えられる 工期が短い |
地震に対する耐震力は、SE構法もツーバイフォーも構造的に強く造られています。
ツーバイフォーの家は歴史があるためさまざまな震災での実績がありますが、SE構法の家も負けてはいません。
SE構法の家は、阪神淡路大震災後、日本全国に1万棟以上が建てられており、中越地震・ 東日本大震災・熊本地震 などの震源地にも多く建てられています。
その中で、地震で構造的な被害を受けた住宅は0件。SE構法の家は、ツーバイフォー同様に実際の震災で倒壊していないのです。
費用と工期でいえば、ツーバイフォー工法では工程がマニュアル化されているため、工期が短期間ですみます。
工期が短いということは、人件費も削減可能ということ。また、ツーバイフォー工法の資材は工場で生産できるのに対し、SE構法の資材はSE金物や構造用集成材といった特殊なものを用意する必要があり、さらにSE構法には構造計算も必須なので、ツーバイフォーに比べて費用が割高になってしまいます。
ですが、SE構法の家で長期優良住宅の認定を所得すると税金の控除が受けられるうえ、耐震等級3※を誇るSE構法の家は地震保険が50%割引になるなど、長期的に見ると費用対効果が高いと考えることもできるでしょう。
ちなみに、耐震等級1は震度6強~7の地震でも倒壊しない最低限のレベル、耐震等級2は耐震等級1の1.2倍の耐震強度となっています。
間取りの自由度に関してはSE構法のほうに利点があり、大きな窓・広いリビング・吹き抜け・天井活用・ビルトインガレージなど、ライフスタイルや好みのデザインに合わせて設計することが可能です。
また、SE構法はツーバイフォーのデメリットである「リフォームが難しい」という点もクリア。家族構成の変化などに対応した家に何度でも生まれ変わることができます。
ツーバイフォーと同様の耐震性を持ちながら、間取りの自由度やリフォームのしやすさも併せ持つSE構法の家は、SE構法施工管理技士が在籍している登録工務店でなければ施工できません。
SE構法で家を建てたい場合は、まず登録工務店探しから始めましょう。
ホエールハウスは、神戸の登録工務店の中で唯一、全棟をSE構法で手掛けている、実績豊富な住宅会社です。
そんなホエールハウスでは、定期的に無料の耐震セミナーを開催中。住宅の耐震性に興味がある方は、ぜひお気軽にご参加ください。