木造住宅の耐震性は?地震に強い家の基準とは

木造住宅の耐震性は大丈夫?

日本で新築住宅を建てる際は、木造・鉄骨・RC(鉄筋コンクリート造)など、家の素材や工法に関わらず耐震基準を守る必要があります。
わたしたちが住む日本は、世界中で発生するマグニチュード6.0クラスの大地震の17.9パーセント(※)が発生している地震大国。この記事では、そんな日本で安心して暮らせる木造住宅の耐震性について解説します。

※参照:財団法人国土開発技術研究センター「国土を知る / 意外と知らない日本の国土」

木造住宅の耐震性能

木造住宅は鉄筋やRCより柔らかく強度が劣るイメージがありますが、実は「地震の揺れを逃がしやすい」という特性があります。
建物の揺れは重いほど大きくなるため、高層ビルやマンションに比べて軽量な木造住宅の揺れは少なく、耐震性が劣っているということはありません。
耐震性の高い木造住宅を作るためには、木材の性質を生かした設計・施工が大切です。

木造・鉄骨・RCの耐震性と費用の違い

木造住宅の原材料である木材は、素材の軽さとしなやかさで地震の揺れを逃がしやすく、優れた耐震性があります。
木造住宅は鉄骨・RCと比較すると圧倒的に着工数が多く、木材や内外装に使う種類が幅広いため、低いコストで住宅を建てることが可能。また、木造住宅は自然の木材を利用しており、環境にやさしく健康的な生活をしたい人に向いています。

鉄骨住宅の骨組みに使う鉄や鋼材も地震の揺れを「しなり」や「粘り」によって吸収する性質があるため、高い耐震性があります。
ただし、素材が鉄や鋼材を使用するため木造住宅より鉄骨住宅は割高になる傾向があり、重量があるため土地の性質により地盤改良が必要になるとさらにコストが掛かります。
強度の強さを活かしたデザイン性の高い住宅を求める人や、経年劣化が緩やかなため資産価値を重要視する人におすすめです。

RCは鉄筋によって補強されたコンクリート造りで、高い耐震性能を発揮します。
RC住宅は現場で鉄筋や型枠の加工が必要なほか、コンクリートの工事や養生など多くの専門職人が関わるため、鉄骨よりさらにコストが割高に。コンクリートはすき間が少なく遮音性に優れているため、堅牢な住まいを求める人のほか、騒音を気にせず音楽を楽しみたい人にも向いています。

木造住宅の工法による耐震性の違い

在来軸組構法は在来工法や木造軸組工法とも呼ばれ、日本で長年に渡って受け継がれてきた梁や柱で構造を支える建築方法を指します。

2×4工法とは、住宅の骨組みを2インチ×4インチの木材で造った枠組にパネルを貼り合わせ、構造を面で支える工法のこと。建物を面で支えるため柔軟性があり、地震の力を分散させる特徴があります。

SE構法は1995年に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに研究が始まった工法で、日本の耐震等級で最も高い耐震等級3をクリアしています。
大地震でも倒れない家を建てるため、柱や梁にかかる力や家具の重さでかかる負荷、地震や台風など外部からかかる負荷を構造計算によって細かく数値化。在来軸組構法や2×4工法で「耐震基準を満たしていても接合部分や柱が外れやすい」という弱点を克服しています。

ホエールハウスは、神戸で唯一すべての住宅にSE工法を採用している耐震性にこだわった工務店です。無料で耐震セミナーを始めとした家づくりセミナーを実施していますので、地震に強い家づくりを学びたい方はぜひご参加下さい。

木造住宅の耐震性を上げるには?

新築住宅を建てる場合は現行の耐震基準で建築されるため問題ありませんが、既存の木造住宅を地震に強くするためには耐震診断を受けた後に耐震補強工事をする必要があります。
耐震診断とは地震により倒壊するかしないかを見極める調査で、その結果は以下の「上部構造評点」という指標で表されます。

  • 1.5以上…倒壊しない
  • 1.0~1.5未満…一応倒壊しない
  • 0.7~1.0未満…倒壊する可能性がある
  • 0.7未満…倒壊する可能性がある

※参照:東京都耐震ポータルサイト

既存の木造住宅の耐震工事費用には150〜200万円が相場ですが、上部構造評価点が0.5〜1.0程度の場合、助成金を受けられる可能性があります。
お住まいの地域ごとに助成金の額や申請方法などが異なるため、気になる場合は市区町村の窓口に相談してみましょう。

住宅の耐震性について知っておきたいこと

耐震基準とは

耐震基準とは、建築基準法で建物が一定の強さの地震に耐え人命を守ることを目的に定められたものです。
現在の建築基準法の前身にあたる「市街地建築物法」が施行された1920年には耐震に関する規定はほぼありませんでしたが、1923年の関東大震災をきっかけに市街地建築物法が改正され、耐震基準が追加されました。甚大な被害を出した大地震が起こるたび見直されてきた耐震基準には、大きく分けて「旧耐震基準」「新耐震基準」そして現在の建物に適用される「2000年基準」の3つがあります。

旧耐震基準は1981年5月31日までに「確認申請」を受けた建物に適用されている基準です。
確認申請とは、建築基準法に適合し審査を通過したことを証明するもの。旧耐震基準は「震度5程度で大きな損傷がないこと」となっており、震度6以上を想定した基準はありませんでした。大地震が増えている近年、旧耐震基準の住宅は倒壊の危険性が高いと言えます。

新耐震基準は1981年6月から2000年5月31日までに確認申請を受けた建物に適用されており、これをクリアしている家は震度5で軽いひび割れ程度、震度6以上で倒壊しても人が押し潰されない耐震性があるとされています。
大震災が来ても人命は守れるものの、地震が落ち着いたあとに住み続けることは困難なレベルの耐震性でした。

2000年基準とは、2000年6月1日以降に確認申請が行われた建物に適用されている耐震基準です。
震度7程度の大地震でも倒壊・崩落の危険がないよう壁や床の強度、つなぎ目に使う金具にいたるまで細かく指定されているほか、住宅を建てる土地の強さも需要視され、地盤調査をしないと建築ができないといった点が厳格化されています。

耐震等級とは

耐震等級とは、人命と建物の両方を守れるかを基準にしたもの。地震に耐えられる強さを等級1〜3に分類し、数字が大きいほど耐震性に優れているとされています。

耐震等級1は、建築基準法で定めた耐震基準と同じレベルを指しています。
建築基準法は震度6程度の地震でも倒壊・崩壊しないことも目的とした基準ですので、耐震等級1の住宅は地震のあとも安全に住み続けられるか考慮する必要があります。

耐震等級2は耐震等級1の1.25倍の地震に耐えられる耐震性能が必要とされており、避難所に指定されている学校や病院に必要な基準です。

耐震等級3は耐震等級1の1.50倍の地震に耐えられる耐震性能が必要となっており、災害復興の拠点となる警察署や消防署の多くに採用されています。
耐震等級3の木造住宅は震度7の地震に2度も耐えたという調査結果もあり、高い耐震性を意味する基準です。

耐震・制震・免震の違い

耐震性の高い木造住宅を建てるためには、耐震以外に制振と免震についても考慮する必要があります。
耐震とは柱や梁などを強化して地震の揺れに耐えて倒壊を防ぐ構造で、建築基準法によって一定の基準が義務化されています。
制振とは振動を吸収する装置を設置し、地震による揺れを抑えて建物の損壊を防ぐもの。地震のほかに列車やトラックが通過するときの揺れも軽減できるため、高価であるにもかかわらず積極的な導入が進んでいます。建物の変形を防ぐ働きもあり、高層ビルや橋に使用されることが多い構造です。
免震とは地震の揺れが直接伝わらないようにする構造で、建物と地面の間に揺れを吸収する装置を設置し、建物の揺れを最小限に抑えます。
免震装置は後付けができないため、興味のある方は建築時点で導入を検討するようにしましょう。

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