心地よさを守る
断熱のキホン
快適な暮らしは壁の中でつくられる
住み心地の良い家とは、どんな家でしょうか?使い勝手の良い間取りや、好みのデザインもそうですが、人が「心地よい」と感じる最も大きな要素は体感温度と言われています。
住宅においての体感温度は室内温度によって大きく左右されます。夏涼しく冬暖かい、そんな室内環境をつくり出すことが、心地よい暮らしの第一歩かもしれません。
断熱材があるだけでは意味がない
現在、日本の住宅に使われている断熱材のシェアは、グラスウールなどの繊維系断熱材が8割以上を占めており、残りの2割弱が現場発泡の吹き付け断熱材となっております。繊維系断熱材の中でも最も普及しているグラスウールは、とても安価で多くの住宅で使われているため、施工する業者も扱いに慣れており、あえて別の断熱材を使う必要がないほどメジャーな断熱材です。
しかしその一方で、施工方法によりその効果にバラつきが起こるというデメリットもあります。グラスウールは非常に細くて綿のようなフワフワとした材料と空気とのバランスで断熱を行います。そのため、無理に詰め込みすぎたり、広げすぎたスカスカの状態で使用すると、本来の性能が発揮されにくくなります。また、住宅ごとに壁の大きさや用途に応じて現場でカットして使うため、職人の経験や技術力が施工状態に大きく影響します。
つまり、断熱材の持つ性能が正しく発揮される場合と、そうでない場合とで、お客様の家の快適性が大きく変わってしまう、とても不安定な断熱材と言えます。
何十年先でも変わらない充鎮力
それに引き換え、現場発泡の吹き付け断熱材は住宅の内側から直接吹き付けるため、細かい部分にも隙間なく充填でき、接着性も高く、安定した断熱効果を得ることができます。中でも、硬質ウレタン発泡の気泡には熱伝導率の極めて小さいガスが含まれており、薄くても十分にその効果を発揮します。また、自己接着性という他の断熱材にはない特長を持つため、木材の経年変化にも対応し、長期にわたってその効果を発揮できる断熱材といえます。
このように、心地よいと感じる体感温度に大きく影響する「断熱材」ですが、使う製品や施工方法によってその効果はまちまちです。もともと繊維系のグラスウールと比べると吹き付け発泡ウレタン断熱は約1.5倍の断熱性能を保持していると言われます。その上、施工方法まで影響してしまうとなると、いったいどれほどの差が生まれるのか、考えものです。