平屋が地震に強い理由
シンプルな構造
一般的に平屋は「壁面4つ、天井、床」の6面で形成されており、要素が少ないため2階建てよりも安定していて倒壊のリスクが低くなるといわれています。
平屋のようなシンプルな箱型は構造物として基本的な形であり、外からの力をバランスよく受け止め、分散してくれるのです。
一方、平面に凹凸がたくさんあるような複雑な構造は力をバランスよく分散させることが苦手。一度の大きな揺れに耐えることができたとしても、強風や小さな揺れといった日々の外圧がかかるたびにアンバランスな負荷が発生してしまいます。
建物の低さ
平屋建ての家は重心が2階建て・3階建てに比べて低いため揺れにくいのはもちろん、風を受ける面積が少なくなるため、地震だけでなく台風に対しても耐性が高くなります。
とはいえ、土地代を抑えつつも生活空間が増える2階建ての家は魅力的。特に市街地に近い場所で家を建てようとすると活用できる土地が狭くなりがちな日本では、戸建て住宅といえば2階建て、というのが定着しています。
しかし、大規模地震で倒壊した家屋の多くは2階部分の枢軸が何らかの理由で先に壊れてしまい、そのまま1階部分が押し潰される形で倒壊しています。
こうした事実を踏まえると、平屋にするだけで予測できる被害が1つ減ることになります。
地震に強い平屋の構造
シンプルな構造で高さもなく重心が低いため揺れにくい=地震に強いといわれる平屋ですが、平屋にも色々な構造があります。
木造構造
戸建て住宅や低層建築に多用されているのが、軽くて加工のしやすい木材を主要な構造に用いた木造構造。その木造構造の中でも、柱や梁を金物などのボルトで固定して筋交いという斜めの部材を枠に固定する「在来工法(軸組工法ともいわれる)」や、北米発祥の建物を壁で支えるスタイルの「2×4(ツーバイフォー)工法」は、頑丈で地震に強いといわれています。
特に「2×4工法」は、柱や梁を使わずに壁となる合板を2インチ×4インチのフレームにはめてプラモデルを組むように施工するため、少ない部材かつ短い工期で家を建てることが可能。住宅需要が高まった高度経済成長期をきっかけに日本に普及しました。
ですが、柱の代わりに壁で支える設計なので形や大きさにはある程度限度があり、間取りの自由度は低め。家族構成や生活スタイルによって柔軟に家をデザインできるのは「在来工法」といえます。
鉄骨構造
超高層ビルや東京スカイツリーといった100mを超えるような建築物を構成しているのが、鋼鉄から作られる鉄骨構造。S造(Steel:鋼鉄)とも呼ばれ、強度と延性(力がかかっても延びて耐えることができる性質)に優れています。
工事現場でよく見かける断面がH型の鉄骨は、強度を保ったまま鋼鉄を軽くするために加工されたもの。鋼鉄は強度と密度が高いため工場でしか加工できないのですが、だからこそばらつきのない均一な品質を保ち、品質に比例して高価な部材となっています。
原材料が鉄なので、熱と錆には注意が必要。場合によっては熱・錆への対策が施された部材を使わなければならず、さらに費用は増加します。
RC構造
RCとは鉄筋コンクリート=Retnforced Concrete(強化されたコンクリート)の略。押し潰されることに強いコンクリートと引き伸ばされることに強い鉄筋という、異なる特性を持つ素材を組み合わせた構造のこと。錆に弱い鉄はコンクリートに覆われることで酸化を免れ、反対にコンクリートが欠けたり割れてしまったりした場合は鉄骨が支えるという、素材同士が上手く欠点を補い合っている構造となっています。
コンクリートの遮音性の高さから低層マンションのような集合住宅によく使われているRC構造ですが、そもそもコンクリートは揺れに弱く、地震によってブロック塀が倒れる被害があるように、鉄筋が通っていない箇所に力が加わればヒビ割れをきっかけに崩壊してしまいます。
どちらか一方が機能していないと欠点を補い合って安定しているとはいえないので、緻密な設計が必要となります。
木造×SE金物の地震に強い構造とは?
在来工法は頑丈ではあるものの揺れに対しては2×4工法よりも弱く、2×4工法は在来工法よりもデザインや間取りの自由度が低くなりますが、この2つの弱点を克服したのが「SE構法」。Safety Engineering(工学的に安全)の略であるこの構造には、以下の5つの特徴があります。
- 阪神淡路大震災を検証して生まれた新たな構法
- 構造力学や材料力学を用いた計算によって作られ、各構造に適した「構造用集成材」を使用
- 鉄骨構造のように柱と梁の接合部を溶接などで固めた揺れに強い枠組み
- 基礎と柱をがっちりくっつける特殊な接合部品を使用
- 「在来工法」を元にした、間取りやデザインの自由度の高さ
精密な計算・頑健な建材・接合部の強化による揺れへの耐性向上という多角的な工夫によって実現したのが、3段階ある耐震等級の最高ランクである耐震等級3の評価を得る「SE構法」なのです。
地震に強い平屋を建てるには
地震への強さを示す「耐震等級」を知ろう
建物がどのくらい地震に強いかを、「品確法」という住宅の品質に関する法律に基づいて3つのランクに分けたものを「耐震等級」といいます。
- 耐震等級1:建築基準法で定められている最低基準の耐震性を持つ建物。
- 耐震等級2:震度6~7に耐えることができる建物。避難所になるような施設には耐震等級2以上が求められる。
- 耐震等級3:最高位のランクで、耐震等級1と比べると1.5倍の耐震性がある。警察署や消防署などの災害時に重要な公共施設はこれにあたる。
2016年の熊本地震では耐震等級2の建物も倒壊してしまったという例があるので、万全な耐震性を求めるなら「耐震等級3」の家を建てるのが得策でしょう。
耐震性の高い平屋を建てるためのポイント
どれくらいの広さなのか、どこに建てるのか、どんな部材を使うのか、同じ平屋でもそれぞれの組み合わせによって耐震性に差が出てきます。
耐震等級の評価を受けることは義務ではありませんが、図面作成の段階から審査が始まるため、家が建ってから申請することはできません。平屋のメリットを存分に生かして耐震性の高い家を建てたいなら、「耐震等級3」に対応している施工会社を選び、申請からお任せすると安心です。
家の耐震性には、土地選びも大きくかかわってきます。
日本の土地の主な地盤は「岩盤」「洪積層(こうせきそう)」「沖積層」「人工地盤」の4種類ですが、中でも洪積層は堅牢な地盤で宅地に適しています。一方、沖積層や人工地盤は液状化や地盤沈下といったリスクを孕んでいるため、土地選びの時点で強い地盤を厳選することが地震に強い家を建てる近道といえます。
地盤調査を依頼すればハウスメーカーや施工会社と提携した地盤調査会社がボーリング調査などを行って家を建てるに適した地盤なのかを調べてくれますが、その前段階で知っておきたい、大まかな土地に目星をつけておきたいという方は「ハザードマップ」の活用が有効。ハザードマップは地盤以外にどんな災害が起こりやすい土地なのかも把握できるため、家の構想前に活かすことができるでしょう。
「耐震等級3」のSE構法で平屋を建てるなら
兵庫県で唯一全ての住宅にSE構法を採用し、「地震に強い家を建てるプロフェッショナル」を自認しているホエールハウス。阪神淡路大震災の被災地・神戸の住宅会社として、科学的根拠に基づいた構造計算と強固な独自のSE金物で大きな揺れに耐え抜くSE構法を取り入れることで、住む人を守る家を実現しています。
阪神淡路以降、SE構法で建てられた家は約1万棟ですが、これまでに倒壊した家屋は1棟もありません。
ホエールハウスでは、住宅の耐震性に関する無料セミナーを定期的に実施しています。
<耐震性セミナーの内容>
- 強い家ってどんな家?
- 法律の落とし穴
- 日本で家を建てるということ
- 地震大国ですべき備え
- 倒壊する理由を知る
- 家族を守る家づくり
「同じ木造・同じ耐震等級の家なのに、耐震性に差があるのはなぜなのか…?」といった事例の解説のほか、上記のような充実した内容をご提供しています。
「地震に強い平屋を建てたい」「耐震性についてもう少し詳しく知りたい」そんな方は、ぜひ無料セミナーにご参加ください。