耐震性が高い家にするなら「柱」と「壁」のどちらが重要?
柱を太くすれば家の耐震性は上がる?
柱は床や壁・屋根などを支える垂直に立つ部材で、重さを土台や基礎に伝えるという役割をしており、縦方向の力に強いのが特徴です。
従来の日本家屋は太くて大きな大黒柱が中心にあり家を支えていましたが、現在では構造計算などを細かく行い適切な柱の太さや位置がわかるようになったため、大黒柱がなくても安全な家を建築できます。
では、現在ではどのような柱が使われているのでしょうか?主要な柱は「通し柱」と「管柱(くだばしら)」です。
「通し柱」は、2階以上の建築で土台から軒(のき ※外側に出っ張った屋根部分)まで通っている柱で、建物の四隅など構造上重要な位置に使用されます。
一方の「管柱」は、1階と2階それぞれに入っている柱のこと。「通し柱」は1階から2階まで1本の柱が通りますが、管柱は各階で柱が分断されており床や壁にかかる重さを支えています。
他に「間柱(まばしら)」という柱もありますが、主要な柱と柱の間にあって部屋の内側の壁を支えるための柱なので、家の構造を支える役割はありません。
多くの種類がある柱ですが、太さもさまざま。住宅用の柱であれば、使う場所や平屋なのか2階建て以上なのかなどの条件によって太さが変わります。一般的には通し柱は1辺120㎜、管柱は1辺105㎜の太さのものを使用しており、場合によっては1辺が135㎜・150㎜・180㎜の太さのものを使うこともあります。
柱が太くなれば耐震性は高くなるものの、コストが余計にかかります。柱の太さよりもバランスのよい配置が重要です。
地震が起きた時の壁の重要な役割とは?
柱は縦揺れには強いものの、横揺れには弱くなっています。では、横揺れにはどのような対策をすればよいのでしょうか?そこで重要になってくるのが「壁」です。
建物を支える壁を「耐力壁」といい、地震や台風など水平の揺れに耐えて建物の倒壊を防止。柱と柱の間にこの耐力壁があることで、住宅は縦揺れにも横揺れにも耐えられます。
しかし、実際の建物がどのような柱や壁を使用しているか詳しく知ることは難しいはず。その場合、家の耐震性の基準である「耐震等級」を参考にしてみましょう。
「耐震等級」とは2000年に施行された地震に対する建物の強度を表す指針で、壁の量・強さ、部材の強さ、地盤・基礎の強さを算出する構造計算を用いて1~3の等級に分類されています。
耐震等級1は、建築基準法に基づいた「建物における最低限の耐震機能を満たした建物」であることを示しており、震度6強から7に相当する数百年に一度起こる大地震に耐えうる強度を持つように構造計算されています。耐震等級2は等級1の1.25倍、耐震等級3は等級1の1.5倍の耐震性能です。
「耐震等級」の評価方法からもわかるように、柱の太さや数だけでは耐震性を確保できず、地震に強い家には耐力壁の量が必須。「柱」と「壁」のバランスをしっかり考えながら建築することが最も重要になります。
「柱」と「壁」で家の耐震性を高めるポイント
筋交い
建物の構造を補強するために柱と柱の間に斜めに入れる部材が「筋交い」。筋交いは木造軸組工法などで耐震性・耐風性を強めるために使用され、数が多ければ多いほど丈夫になります。鉄骨造の場合は筋交いのある構造を「ブレース構造」とも言いますが、役割は同じです。
昔の寺社仏閣などの建築物は筋交いを用いていませんが、とても太い柱を使うことで耐震性を確保していました。
直下率
柱や耐力壁などが1階と2階で同じ位置にどの程度の割合でそろって配置されているかを示す指標が直下率です。「柱の直下率」は50%以上、「壁の直下率」は60%以上が推奨値とされています。
柱と壁の配置バランス
耐震性を高めるためには、垂直方向には柱・水平方向には壁の配置が重要。しかし、建物には必ずドア用の壁や窓が取り付けられている壁など、開口部が大きくとられて建物を支える力がない「非耐力壁」も存在します。非耐力壁が偏って配置されてしまうと、その部分は地震に耐える力が弱まることに。そのため「耐力壁」と「非耐力壁」をバランスよく配置する必要があります。
接合部
柱と土台、梁と梁、柱と梁が繋がる部分を接合部といい、地震の際に大きな負担がかかる部分です。鉄骨造などでは剛接合といって柱と梁が溶接で一体化された接合部になっており、筋交いではなく柱と梁でできた面で支えるラーメン構造による高い耐震性を持っています。
しかし、木造住宅は木材に穴を開けて差し込むように組み合わせるホゾ継ぎをしているため、引き抜けが起こってしまうと建物は倒壊することに。「引き抜け」とは、地震の際に大きな負担がかかって木材の接合部が抜けてしまう現象です。
昔は使用する木材が太かったため、引き抜けなどが生じる危険性は低くなっていました。現在の柱は細く、木材を組み合わせるために穴を開けた際の断面欠損の面積が大きくなり、残される木材部分が少なくなってしまっています。そのため、接合部に地震による力が加わると、木材が割れたり・欠けたりして引き抜けを起こしやすくなってしまうのです。その弱点をカバーするために、接合部に金属で作られた金物を使用して耐震性を高める木造建築も普及してきています。
耐震補強
すでに建っている家も、後から耐震補強をすることが可能です。比較的安価な方法としては、建物を構成する土台や柱などが交わる部分に金具を設置する方法が挙げられます。その他、他の耐震補強工事と比べるとやや高額ですが、外壁やクロスの下地に耐力壁を設置する方法もあります。
「柱」と「壁」だけじゃない!地震に強い家の特徴とは
家の重量が軽い
意外かもしれませんが、建物の重量が軽いほうが地震に強い構造だといえます。
地震によって水平方向に建物が揺れる際には、慣性の力で揺れとは逆方向の力が建物にかかります。その力は「地震力」と呼ばれ、地震力が大きくなるほど建物がゆがんで損傷するリスクが上昇。この地震力の大きさは建物の重さに比例して大きくなるのが特徴なので、地震に強い家を建てるのであれば、建物の重量をなるべく軽くすることが有効なのです。
形がシンプル
家の平面図を見た時に凹凸の多い家は地震の負荷が1ヶ所にかかってしまい、その場所から家が損傷・崩壊する可能性も。長方形または正方形に近いようなシンプルな形にすると、地震による家のねじれが生じにくくなり耐震性が高まります。
地盤が強い
建築物の基礎を支えるのが地盤。耐震性を高めるには、地盤が固いとされる土地に家を建てるのが大切です。
「地震に強い土地であるかどうか」を調べる方法のひとつが「国土交通省ハザードマップポータルサイト」。地震・洪水・土砂災害・津波などの災害に対するその土地のリスクを確認できます。
地震対策の構造を採用している
建物の耐震構造の仕組みとして「耐震」「制震」「免震」があります。
「耐震」は柱や耐力壁などの地震に耐えるための強い部材を使用したり、筋交いを用いたりして家の強度を高める構造のこと。
「制震」は建物内部の要所にオイルダンパーなどを設置して地震の揺れを吸収し、地震による建物の揺れを抑える構造となっています。
「免震」は建物と地面の間に積層ゴムやダンパーなどの免震装置を設置し、建物を地面から切り離して地震の揺れ自体を建物に伝えないようにする構造です。
住宅では耐震構造を強化して耐震性を高めるのが一般的。最も耐震性が高いのは免震構造ですが、耐震<制震<免震の順でコストが高くなり、免震構造を取り入れると他の構造よりも費用が100~200万円以上増えてしまいます。
予算や求める耐震性に合わせて、どういった構造で地震に強い家にするのか検討しましょう。
柱と壁を少なくしても高い耐震性を実現する住宅とは?
地震に強い家にするためには耐力壁の数が重要ですが、壁を増やしてしまうと大きな間取りが作りにくくなってしまうという問題も。しかし、柱や壁の数を少なくしても最高の耐震基準である耐震等級3を実現できる「SE構法」という建築方法があります。
「SE構法」は地震大国である日本で安全・安心に暮らしていくために開発された耐震構法となっており、建物の重量を軽くできる木造でありながらSE金物で剛接合されたラーメン構造による高い耐震性を併せ持つのが特徴。筋交いや柱を少なくできるので間取りの自由度が高く、耐震性と開放的な空間の両立が可能です。
SE構法は東日本大震災や熊本地震といった大きな地震でも倒壊ゼロだったことからもその安全性が証明されています。
SE構法にこだわって家を建て続けるハウスメーカー
「家族の暮らしと思い出を守る家は、どんなに大きな地震にも耐え抜き続けなければならない」そんな想いを持って家づくりをしているハウスメーカーがホエールハウスです。ホエールハウスは構造計算による根拠のある耐震性を持った家を建てるために、兵庫県で唯一「SE構法」を採用しています。
ホエールハウスでは、耐震性についての正しい知識をお伝えするセミナーを随時開催。他にも資金・設計・性能・土地探しといったテーマでのセミナーや構造見学会・モデルハウス見学会など実施しています。しっかりと知識を身につけて納得のいくマイホームを作りたいという方は、ぜひ一度ご参加ください。